シェアキッチンで焼き菓子を売る前に、許可・届出と食品表示を確かめる手順
シェアキッチンで焼き菓子を作り、ネット販売やポップアップで売り始めるときに、営業許可と届出のどちらに当たるかを保健所へ確認する手順、施設の運営者に聞いておくこと、食品表示の準備の進め方を、カフェ開業前の実務として順番に整理します。
自分のカフェを開く前に、シェアキッチンで焼き菓子を作ってネット販売やポップアップで試してみたい。そう考えたとき、最初にぶつかるのが「その場所を借りれば、そのまま売り始めてよいのか」という点です。ここは自己判断で進めず、確認する順番を決めてから動くところです。
この記事では、保健所に何を聞くか、施設の運営者に何を確かめるか、表示の準備をどう進めるかを、開業準備の作業として並べます。
手続きの入口は、自分で決めずに保健所で確かめる
食品衛生法の改正では、「営業届出制度」が創設され、営業許可制度についても改正が行われています。営業施設の許可を得るためには、施設基準を満たさなければなりません。許可業種が改められたことに合わせて、施設基準も改正されました(東京都の食品衛生に関する案内)。
つまり、自分がやろうとしていることが許可の対象になるのか届出の対象になるのか、そして使いたい施設が施設基準をどう満たしているのかは、制度の枠組みに沿って個別に確かめる必要があります。ここは記事や体験談で代用せず、施設を管轄する保健所に、自分の言葉で聞いて確定させます。
聞きに行くときは、口頭の説明だけでなく、判断材料になるものを持っていきます。
作りたい品目を具体的に書き出す
焼き菓子の種類、包装の有無、日持ちの想定まで
使いたい施設の場所と図面
区画、設備の配置、洗浄や保管の場所がわかるもの
自分の名義で手続きできるかを質問する
施設側が既に許可を持っている場合の扱いも含めて確認
売り方を伝える
ネット販売、ポップアップ、直接の受け渡しなど、想定している売り方を全部伝える
食品衛生責任者について確認する
誰を置くことになるのか、そのために自分が何をすればよいかを聞く
衛生管理の記録について確認する
何をどう記録し、どこに保管するのかを聞いておく
回答をメモに残す
担当部署、日付、確認した内容を書き残し、後の申請書類と照らせるようにする
保健所に行く前にすべてを調べ切ろうとすると、準備が止まります。品目と場所と売り方の三つが言える段階になったら、早めに相談の予約を取ります。
シェアキッチンの運営者に確かめること
施設側の情報がないと、保健所での相談が途中で止まります。利用の申し込みをする前に、運営者へ次の点を質問し、答えを文面で受け取っておきます。
- 施設として持っている許可や届出の内容と、その名義を教えてもらう
- 利用者が自分の名義で手続きを進める場合、施設としてどこまで書類に協力してもらえるかを聞く
- 図面や設備の一覧など、保健所への相談や申請に使える資料を出してもらえるか確認する
- その施設の住所を、自分の販売に関する表示や届出で使ってよいかを確認する
- 利用規約に、住所の扱いや申請への協力について書かれているかを読み合わせる
- 使える設備、持ち込みの可否、洗浄と保管の区画の使い方を確認する
- 衛生管理の記録を残す場所と、保管の方法を確認する
いずれも「たぶん大丈夫」で進めず、誰がいつ答えたかまで残します。後で保健所に確認内容を伝えるときに、そのまま使えます。
表示の準備は、販売の告知と同じタイミングで進める
包装して一般消費者に販売する食品には、表示の制度があります。食品表示法等により、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度が創設されています。期限表示やアレルギー表示等の健康の保護を図るための表示の制度や、原料原産地表示等の食品を選ぶ時に役立つ表示の制度が定められており、製造所固有記号の届出に関する案内も置かれています(消費者庁の食品表示の案内)。
何をどこまで書くかは、作る品目と売り方によって変わります。消費者庁の食品表示の情報にあたりつつ、保健所への相談のときに、自分が作る焼き菓子の表示についても一緒に確認します。原材料とアレルギーに関わる情報は、レシピを決める段階から書き出しておくと、表示を作る作業がそのまま進みます。
販売の受け皿になるホームページ・LPも、この段階で一緒に組み立てます。商品の名称、原材料に関する説明、受け渡しや発送の案内は、包装の表示と食い違わないようにします。ポップアップに出るときも、店頭の掲示とホームページ・LPの内容をそろえてから告知します。
販売の2〜3か月前
作る品目と売り方を書き出し、施設の候補を絞る
販売の2か月前
施設の運営者に質問し、図面と回答を文面で受け取る
販売の6〜8週間前
管轄の保健所に相談し、必要な手続きと施設基準の確認事項を聞く
販売の1か月前
手続きを進めながら、レシピを確定し原材料とアレルギーの情報を整理する
販売の2〜3週間前
表示の内容を保健所への確認内容と突き合わせ、包装に載せる形にする
販売の1週間前
ホームページ・LPと店頭の掲示を、包装の表示と同じ内容にそろえる
まとめ
シェアキッチンでのテスト販売は、カフェ本体を開く前に、作る量・売る形・作業の流れを自分の手で確かめられる進め方です。だからこそ、入口の手続きを飛ばさないことが準備の中身になります。
品目と場所と売り方を言える状態にする、施設の運営者から資料と回答をもらう、保健所で必要な手続きを確認する、表示と告知の内容をそろえる。この順番で一つずつ潰していけば、販売開始の日から逆算して動けます。