カフェ開業のクラウドファンディング、食事券リターンの税金と経理手順
購入型クラウドファンディングでカフェの開業資金を集め、食事券をリターンにするときの所得税・消費税・贈与税の考え方と、入金からリターン提供、確定申告までの経理の手順を国税庁の情報をもとに整理します。
カフェの開業資金を購入型クラウドファンディングで集め、リターンに食事券やオリジナル商品を用意する。この進め方では、支援金が入るのは開業前、食事券が使われるのは開業後、確定申告はさらにその翌年と、お金の動きと税の区切りがずれます。この記事では、国税庁の解説で確認できる範囲の考え方と、入金からリターン提供、申告までに何を記録しておくかを時系列で整理します。個別の判断は、必ず税務署か税理士に確認してください。
まず「対価があるかどうか」で税の入口が分かれます
国税庁の「課税の対象」の解説では、消費税の課税対象となる「対価を得て行う」取引とは、物品の販売などをして反対給付を受けることだと説明されています。無償で行われる取引は消費税の課税対象とならず、寄附金や補助金も一般的には対価とは認められないため、これらを受け取る取引は原則として課税対象にならないとされています。
食事券や商品を渡す購入型は、支援者が支援の見返りに反対給付を受け取る形です。見返りのない寄附型とは、この入口の時点で扱いが変わります。自分のプロジェクトがどちらの形なのかを、募集ページを作る前にはっきりさせておきます。
所得の面では、国税庁の「事業所得の課税のしくみ」に、事業所得とは事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得であり、総収入金額から必要経費を差し引いて計算すると書かれています。総収入金額には売上金額のほか、金銭以外の物や権利などの経済的利益も含まれます。食事券や商品と引き換えに資金を受け取る設計なら、カフェ事業の取引として帳簿に載せる前提で整理し、所得の区分は税務署か税理士に確認します。
見返りのない支援を個人から受ける設計にする場合は、別の確認が必要です。国税庁の「贈与税がかかる場合」では、暦年課税の贈与税は、その年に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額を差し引いた残りの額にかかると説明されています。寄附型を選ぶなら、受け取った支援が贈与税の対象になるかを事前に確認しておきます。以下は食事券をリターンにする購入型を前提に進めます。
食事券の消費税は「渡した時」ではなく「使われた時」を確認します
国税庁の「商品券やプリペイドカードなど」の解説では、商品券などの物品切手等を用いる取引について、物品切手等の購入は非課税とされ、後日その物品切手等を使って実際に商品を購入したりサービスの提供を受けた時が課税の時期になると説明されています。商品券を発行する段階にも課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスは同じひとつのものなのに重ねて課税されることになるため、それを避ける仕組みだと書かれています。
ここで先に決めておくことは、自店の食事券がこの「物品切手等」に当たるかどうかの確認です。引き換えられるメニューの範囲、有効期限、他の券との併用可否といった券面の条件を文章で固めてから、税務署か税理士に確認します。当たると確認できた場合は、支援者に食事券を発行した段階と、来店して飲食を提供した段階を分けて記録できるように帳簿の科目を用意しておきます。
有効期限を設けるかどうか、期限が来ても使われなかった分をどう記録するかも、券面を決める段階で確認事項に含めておきます。この点も募集開始前に確認を終えておきます。
入金からリターン提供、決算までの記録の流れ
募集開始前
リターンの内容、食事券の有効期限、引き換え条件を文章で確定し、クラファンのページと自店のホームページ・LPに同じ文言で載せる
入金時
プラットフォームの入金明細で支援総額と手数料の内訳を確認し、総額と手数料を分けて記録する。リターン未提供分は前受金として控える
リターン発送時
商品の仕入や発送にかかった経費の領収書を保存し、発送済みの支援者を一覧で消し込む
開業後・食事券利用時
使われた券の分を前受金から売上に振り替え、消費税の課税の時期として記録する
年末
未使用の食事券を数え、前受金の残りとして確定申告の資料に反映する
翌年
申告等の期間内に確定申告書を提出する
前受金とは、商品やサービスを提供する前にあらかじめ受け取った代金を、いったん負債として記録しておく科目です。クラウドファンディングの支援金は、入金の時点ではまだ食事券も商品も渡していないので、この科目で控えておき、食事券が使われた時や商品を発送した時に、その分だけ売上へ振り替えていきます。
入金時に確認するのは、支援総額と手数料の内訳です。プラットフォームの管理画面や入金明細を開き、支援者から集まった総額、差し引かれた手数料、実際に口座へ入った金額を、それぞれ分けて書き留めます。手数料や、リターン品の仕入・発送にかかった経費は、必要経費の候補として明細ごとに記録し、算入できるかを税理士に確認します。
年をまたぐ場合は、年末時点でまだ使われていない食事券がいくらあるかを数え、その分を前受金の残りとして申告資料に反映します。プラットフォームの支援者一覧、入金明細、手数料明細は、後から確認できるようにPDFで保存しておきます。
確定申告に向けたチェックリスト
国税庁の「確定申告」の解説では、申告等の期間は原則としてその年の翌年に定められており、申告期限までに確定申告書を提出するとされています。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額を入力することにより自宅で申告書を作成・提出できると案内されています。
支援総額と手数料を分けて記録した入金明細
プラットフォームの管理画面からPDFで保存
年末時点の未使用食事券の枚数と前受金の残り
支援者一覧と照合して数える
使用済み食事券を売上に振り替えた日付の一覧
来店日ごとに記録
リターン品の仕入・発送の領収書
必要経費の候補として明細ごとに保管
食事券が物品切手等に当たるかの確認結果
税務署か税理士に確認した日付と内容を控える
有効期限切れの未使用分の扱いの確認結果
券面を決める段階で確認済みにしておく
寄附型の支援を混ぜていないかの確認
混ぜている場合は贈与税の対象になるかを確認
提出方法と期限の確認
確定申告書等作成コーナーの利用可否を含めて確認
クラウドファンディングの経理は、入金の日、食事券を渡した日、使われた日、年末、申告期限と、区切りが多いのが特徴です。それぞれの区切りで何を記録するかを募集前に決めておき、迷った点は国税庁の解説を手元に置いて税務署か税理士に相談してください。