駐車場のあるサロンが、看板の言葉と管理記録を整えるための手順
車で来店するお客さまが多いサロン向けに、駐車場まわりで起きうる場面の洗い出し方、看板に書く言葉の整え方、点検と記録の残し方、法令の一次情報を確かめる先までを、開業前後に決めておく手順としてまとめました。
車で来店するお客さまが多いサロンでは、施術そのものとは別に、駐車場まわりの連絡が入ることがあります。「停めている間に当てられた」「車内を荒らされた」「停めにくくて別の車と接触した」。こうした連絡を受けたときに、その場で何を答え、何を答えないのかを、あらかじめ自分で決めておきます。
決めるべきことは大きく三つです。看板やホームページ・LPに書く言葉、駐車場の状態をどう点検して記録に残すか、そして起きたときの連絡の段取り。この記事では、この三つを開業前後のうちに紙に落とすところまでを扱います。
なお、責任の範囲そのものは、条文と解説にあたって確かめます。消費者庁のページには、法令の詳細と逐条解説が掲載されています。また、民法など民事基本法制の立案業務は、法務省の民事局が行っています。個別の事案がどう扱われるかの判断は、弁護士など専門家に相談してください。ここから先は、確かめた内容をもとに自分の店でどう運用するかを決める側の話です。
まず、駐車場で起きうる場面を書き出す
言葉を決める前に、想定する場面を書き出します。紙一枚で十分です。
- お客さまの車同士が、区画の出入りで接触した
- 停めている間に、車体に傷がついていた
- 車内の持ち物がなくなった、窓が壊されていた
- 路面のへこみや段差、輪止めの破損で、車や人に何かが起きた
- 照明が切れていて、夜の出入りで見えにくかった
- 共用駐車場で、区画の外に停めてしまい別の利用者と行き違いになった
書き出したら、場面ごとに二つの列を作ります。ひとつは「誰に連絡するか」。もうひとつは「その場で言うこと・言わないこと」です。たとえば、警察や当事者同士のやり取りをお願いする場面と、店側で状況を記録して後日折り返す場面は、分けて書いておきます。
看板の言葉は、範囲がわかる書き方にする
駐車場に掲げる案内文を、そのまま声に出して読み返します。確かめるのは、書いてある一文が「どこまでを指しているのか」が読み手に分かるかどうかです。
「駐車場内の事故について一切責任を負いません」のような言い切りの表現を使っている場合は、その一文が、店側の落ち度があった場面まで含む書き方になっていないかを読み返します。そのうえで、たとえば次のような、範囲を限定した書き方の案を作り、条文と解説にあたったうえでどちらを掲げるか決めます。
- 「当店の管理上の過失による場合を除き、駐車場内での利用者同士の事故については責任を負いかねます」
- 「車上荒らし・盗難の防止のため、貴重品は車内に残さないようお願いします」
- 「区画外・通路上への駐車はご遠慮ください。満車の場合はスタッフにお声がけください」
あわせて、駐車場の位置・区画数・停め方・満車時の案内は、看板だけでなくホームページ・LPにも同じ内容で載せておきます。来店前に読める場所と、現地で読める場所の文言は、同じ言い回しにそろえておきます。
点検と記録の段取りを決める
看板の言葉を整えたら、次は駐車場そのものの状態を、決まった間隔で見て回る段取りを作ります。誰が、いつ、どこを見るかを決め、見た記録を残します。
路面
ひび・へこみ・段差・水たまりの位置を確認する
区画線
線が薄くなっていないか、番号が読めるかを確認する
輪止め・車止め
ぐらつき、割れ、固定のゆるみを確認する
フェンス・ブロック塀
傾き、ひび、金具の外れを確認する
照明
夕方以降に点灯するか、切れている灯具がないかを確認する
排水口・側溝
ふたのずれ、落ち葉や土のつまりを確認する
案内看板
文字が読めるか、掲示が外れていないかを確認する
防犯カメラ
電源が入っているか、録画が残っているかを確認する
点検の記録
実施日・実施者・気づいた点・対応した内容を書き留める
記録は、日付と実施者、気づいた点、その後どうしたかまで残します。写真を撮って日付とともに残しておくと、状態の移り変わりを後から追えます。
防犯カメラを置く場合は、録画がどれだけの期間残るのかを確かめ、いつまでの映像なら見返せるのかを決めておきます。加入している保険がある場合は、駐車場内での事故が補償の対象に含まれるかどうかを、証券や案内の書面で確かめます。含まれていない場合は、取り扱いのある窓口に相談します。
開業の準備期間
駐車場の区画・出入口・照明の位置を図にして、想定する場面を書き出す
開業前の掲示づくり
看板の文言案を作り、条文と解説にあたって掲げる文言を決める
開業前の掲載
駐車場の案内をホームページ・LPに載せ、看板と同じ内容にそろえる
開業後の毎月
点検チェックリストで見て回り、日付・実施者・気づいた点を記録に残す
開業後の年に一度
保険で補償される範囲と、看板の文言を読み返して確かめる
最後に、連絡の段取りをスタッフと共有します。連絡先の一覧、警察への通報が必要な場面、その場では判断せず折り返す場面、記録に残す項目。この四つを一枚にまとめ、受付から手の届く場所に置いておきます。あとは、月に一度の点検のたびに、その一枚も一緒に読み返します。