スタッフの施術中に事故が起きたら|サロンが先に決めておく段取り
アルバイトや業務委託のスタッフを迎える施術サロン向けに、施術中のけがや体調の変化に備えて先に決めておく事項、起きた日の動き方、記録の残し方、ホームページ・LPで整えておく受付導線を、手順とチェックリストにまとめました。
ひとりで回していたサロンにスタッフを迎えると、施術の現場に自分がいない時間が生まれます。アルバイトとして雇う場合も、業務委託として一緒に働いてもらう場合も、施術中のけがや体調の変化にどう向き合うかは、人を迎える前に決めておきたい事項です。ここでは、起きてから考えることになりがちな項目を、決めごと・当日の動き・お店側の受付導線という順で手順に落としていきます。
人を迎える前に、書面で決めておくこと
まず、お店とスタッフのあいだで役割をどこまで分けるのかを、口頭ではなく書面にします。雇う形と業務委託の形では、お店が施術の手順や時間帯にどこまで指示を出すかという前提が変わります。名目をどちらにするかだけを決めて、実際の指示の出し方を決めないまま走り出すと、あとから話が合わなくなります。指示を出す範囲と出さない範囲を、そろえて書いておきます。
書面に落とすときは、次の項目を埋めていきます。
担当する施術の範囲
どのメニューを誰が担当し、どこから先はお店に確認するか
指示を出す範囲
手順・時間帯・場所について、お店がどこまで決めるかを明記する
事故が起きたときの連絡順
誰にいつ連絡するか、連絡がつかないときの次の相手まで決める
記録の残し方
問診票・施術の記録・担当者の報告メモを、誰がどこに残すか
賠償責任保険の扱い
お店として入るもの、スタッフ個人に入ってもらうものを分けて書く
補償の範囲と対象外の条件
加入先の窓口に、施術中の事故がどう扱われるかを事前に確認する
書面のつくり方に迷ったら、公的な相談先をあたる道もあります。中小企業向けのビジネス支援サイトのビジネスQ&Aでは、海外取引の書面づくりについて「支援団体や専門家の助力を活用」することが案内されています。自分だけで文面を組み立てず、相談できる相手をあらかじめ見つけておきます。
起きた日に、順番どおり動く
事故が起きた場面では、判断の順番を決めておかないと、その場の空気で動いてしまいます。お客さまの状態を確かめること、記録を残すこと、加入先へ連絡することを、この順で固定します。
発生直後
施術を止め、お客さまの状態を確認する。ご本人の希望を最優先に、必要な受診の手配を進める
当日中
問診票・施術の記録・担当者が書いた報告メモを、その日のうちにそろえて保管する
その場では出さない
誰がどこまで負担するかの結論は、その場で口約束にしない
翌営業日まで
加入している賠償責任保険の窓口へ連絡し、扱いを確認する
落ち着いてから
同じ場面が起きたときの手順をあらためて点検し、書面と受付の案内文に反映する
記録は、時間がたつほどそろえにくくなります。担当者の報告メモは、記憶が新しいうちに本人の言葉で書いてもらいます。何時ごろ、どのメニューの、どの動作の場面だったのかまで残しておくと、あとから経緯をたどれます。
消費者庁の消費者安全のページでは、関係法令等に基づき関係行政機関等から消費者事故等に関する情報を一元的に集約するとして、消費者安全法(生命・身体分野)や事故情報データバンク、消費者庁リコール情報サイトなどが並んでいます。自分の店の外で何が集められているのかを一度見ておくと、記録として何を残すべきかの手がかりになります。
受付の入口を、ひとつにまとめておく
決めごとを書面にしても、お客さまからの連絡が電話・SNS・来店時の口頭にばらけていると、誰がその話を受け取ったのかが残りません。ホームページ・LPを持っているなら、問い合わせと予約の入口をそこに集めておきます。
お店の側で用意しておきたいのは、次の三点です。施術前に伝えている注意事項を読める場所に置くこと。体調や既往について事前に知らせてほしい内容を、予約の受付フォームで聞くこと。そして、施術後に気になることがあったときの問い合わせ先を、迷わない位置に置くことです。入口をひとつにまとめておくと、いつ誰から何を受け取ったかが同じ場所に残ります。
スタッフを迎えることは、施術の時間を増やすことであると同時に、自分が見ていない時間を引き受けることでもあります。書面と、当日の順番と、受付の入口。この三つを人を迎える前に整えてから、募集をはじめてください。