ネイルの施術トラブルに備える同意書と説明の手順
ネイルサロンで施術トラブルに備えるとき、同意書に何を書き何を書かないか、施術前のヒアリングと記録、来店前から施術後までの伝え方を手順にまとめました。ホームページ・LPで先に出しておく項目も、チェックリストと流れの図で整理します。
爪や指先まわりの不調が起きたときに備えて、施術前に同意書へ署名をもらっているサロンは多いと思います。ただ、「同意書に署名をもらってあるから、あとは何が起きてもお店の側は関係ない」という前提で運用を組むと、いざというときにお客様と話がかみ合わなくなります。消費者庁は、消費者と事業者の間には、持っている情報の質・量や交渉力に格差がある、としています。紙一枚で線を引くのではなく、何を伝え、何を聞き、何を残すかを手順として決めておきましょう。
同意書に何を書き、何を書かないか
同意書は、お客様に読んでもらうために書きます。読んで意味が分かる文にしておくことを先に決めます。書き方を決めるときの目安は次のとおりです。
- 「いかなる場合も一切の責任を負わない」と読める一文だけで済ませない
- お店の側に重い落ち度があった場合はその限りではない、という趣旨をはっきり書く
- どの場面に当てはまる話なのかを具体的に書き、あいまいな包括表現でまとめない
- 口頭で説明した内容と、同意書に書いてある文言をそろえる
- 署名をもらう前に、その場で読む時間をとる
書いた文言は、担当者が変わっても同じ説明ができるかどうかで点検します。読み上げてみて言いよどむ箇所があれば、そこはお客様にも伝わりにくい箇所です。
施術前に聞き取る項目をそろえる
聞き取りは、その日の担当者の記憶に頼らず、カウンセリングシートの順番どおりに進めます。項目を固定しておくと、聞き漏らした箇所が後から分かります。
金属や樹脂に反応した経験の有無
いつ・何を使ったときかまで聞く
これまでの施術で起きた不調
時期と、そのとき何をしたかを書き留める
今の自爪と指先の状態
割れ・欠け・浮き・色の変化を見て記録する
今日の体調と気になっている点
判断に迷う点はその場でご本人に確認する
前回の付け替えからの間隔
ご自分で外した場合はその方法も聞く
当日は見送ると判断する基準
店として先に決め、担当者の間でそろえておく
聞き取った内容はカルテに残し、次回の来店時に前回の記録を見てから施術に入ります。爪や指先の状態は言葉だけだと後から読み返せないので、どの指のどこかまで書きます。
来店前から施術後までの流れを決める
説明のタイミングがずれると、お客様は「聞いていない」と感じます。どの段階で何を伝えるかを、店の流れとして固定しておきましょう。
来店前
ホームページ・LPに、施術の流れと当日お伝えする内容を載せておく
来店直後
カウンセリングシートの順に、体質と爪・指先の状態を聞き取る
施術前
当日できること・見送ることを口頭で伝え、同意書に署名をもらう
施術中
しみる・熱いなどの申し出があった時点で手を止め、内容を記録する
施術後
ご自宅での過ごし方と、変化があったときの連絡方法を伝える
来店前の説明は、ホームページ・LPに置いておくと、お客様が予約の前に読めます。同意書と同じ内容を、同じ言い方で載せます。
器具と店内の扱いを説明できる形にする
爪まわりの不調の話は、器具や店内の衛生と切り離せません。器具の洗浄・乾燥・消毒・保管をどの順番で行っているか、使い捨てにしているものは何か、タオルやファイルをお客様ごとにどう替えているかを、手順書にして掲示できる形にしておきます。お客様から聞かれてから説明を考えるのではなく、聞かれる前に答えられるようにしておく、という置き方です。
国民生活センターは、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどを、毎年選定して公表しています。自分の店で起きたことだけを見ていると気づけない論点もあるので、公表されている内容には目を通しておきましょう。
まず手をつける順番
一度に全部を整えるのは難しいので、順番を決めて進めます。
- はじめに、カウンセリングシートの項目を紙に書き出し、聞く順番を固定する
- 次に、当日は見送ると判断する基準を、担当者どうしで言葉をそろえる
- そのうえで、同意書の文言を読み返し、あいまいな包括表現を具体的な記述に書き換える
- 続けて、器具と店内の扱いを手順書にまとめ、聞かれたら見せられる状態にする
- 最後に、同じ内容をホームページ・LPに載せ、予約前に読める場所に置く
同意書は、お客様との合意を作るための道具です。署名をもらう作業を目的にせず、伝える・聞く・残すの三つがそろっているかどうかで、店の運用を点検してみてください。