海外で買ったコスメをネイルサロンで販売・プレゼントしてよい?薬機法の個人輸入ルール
海外旅行や個人輸入で手に入れたネイルポリッシュやハンドクリームを、店内で販売したり来店プレゼントとして配ったりしてよいのか。薬機法の個人輸入の考え方と、サロンが取れる仕入れルート、取り扱い前の確認手順を整理します。
海外旅行先で見つけた可愛いネイルポリッシュや、日本未発売のハンドクリーム。「お客様にも喜ばれそうだから店内で売りたい」「来店プレゼントとして配りたい」と考えるネイルサロンのオーナーは少なくないはずです。ただ、化粧品の個人輸入には薬機法のルールがあり、有償の物販だけでなく無償のプレゼントにも関わってきます。このコラムでは、厚生労働省の案内をもとに個人輸入の考え方を整理し、サロンが取れる仕入れルートと、取り扱い前の確認手順をまとめます。
個人輸入したコスメは「自分で使う」ためのもの
厚生労働省は、化粧品を医薬品や医薬部外品などと並ぶ「医薬品等」として扱っています。海外からインターネット等で取り寄せたり、外国の旅行先で購入して持ち帰ったりすることが、いわゆる個人輸入です。
一般の個人が自分で使うために輸入する場合、原則として地方厚生局に必要書類を提出し、営業のための輸入でないことの証明を受ける必要があります。化粧品については一定の数量の範囲内であれば、特例的に税関の確認を受けたうえで輸入できるとされています。ただし、この特例は輸入者自身が自己の個人的な使用に供することが前提です。
ここで大切なのが、厚生労働省が明記している次の一文です。個人輸入した医薬品等を、他者に販売、授与等した場合、薬機法の規定に違反するおそれがある、という点です。「授与」とは、代金を受け取らずに相手に渡すことを指します。つまり、店内で販売する場合だけでなく、来店プレゼントやキャンペーンのノベルティとして無料で配る場合も、「他者に渡す」行為である以上、個人輸入の前提から外れます。「売っていないから問題ない」とは言えないのが薬機法の考え方です。
営業のために輸入するには承認・許可等が必要
厚生労働省の案内では、医薬品等を営業のために輸入するには、薬機法の規定により厚生労働大臣の承認・許可等が必要とされています。サロンのお客様に渡す目的で海外コスメを仕入れるのは「営業のための輸入」にあたるため、個人輸入の枠では扱えません。営業のために輸入する場合の手続きは、製造販売業者等が業として輸入する場合の手続きとして案内されており、申請手続きの詳細は申請先の厚生局に問い合わせるよう示されています。
もう一つ押さえておきたいのが、お客様の身体に関わるリスクです。厚生労働省は、日本国内で正規に流通している化粧品などは薬機法に基づいて品質、有効性及び安全性の確認がなされている一方で、個人輸入される外国製の製品には保健衛生上の危険性があると注意喚起しています。同じページには、海外の日焼け止めに係る健康被害についての資料も掲載されています。サロンが渡した品でお客様の肌にトラブルが起きれば、お店への信頼にも直結します。
サロンが取れる仕入れルート
海外コスメをお客様に渡したい場合、個人輸入ではなく、次のようなルートを検討します。
- 国内の正規輸入代理店や卸から仕入れる。すでに国内で正規に流通している海外ブランドの化粧品を、日本向けの表示が付いた状態で仕入れます。仕入れ先には、日本国内での取り扱いに必要な承認・許可等を持っているかを確認します。
- 許可等を持つ国内のOEMメーカーに委託する。サロンオリジナルのネイルオイルやハンドクリームを作りたい場合や、海外ブランドの品を日本向けに整えて扱いたい場合は、輸入や製造を業として行っている国内メーカーに相談します。
- 自社で承認・許可等を取得する。輸入を自分たちで行いたい場合の道です。手続きの内容や申請先は、地方厚生局に問い合わせて確認します。
どのルートを選ぶ場合も、「誰が営業のための輸入を行い、承認・許可等を持っているのか」をはっきりさせてから仕入れます。物販やプレゼントの案内をホームページ・LPやSNSに載せるのは、この確認が済んでからにします。
企画時
配りたい品・売りたい品を決め、個人輸入品が含まれていないか確認する
仕入れ先の選定
正規輸入代理店・卸・OEMメーカーのいずれかを選び、承認・許可等の有無を確認する
告知前
仕入れ先の確認が済んでからホームページ・LPやSNSに案内を出す
配布・販売時
仕入れ台帳に品名と仕入れ先を残しておく
すでに配ってしまった場合の手順
過去に個人輸入したコスメをノベルティとして配ったことがある場合は、次の順番で対応します。
- まず配布と販売を止める。キャンペーンの途中でも、残りの品は渡しません。
- 手元に残った品はお客様に渡さない。自分で使う分として保管するか処分します。
- 仕入れ経路を切り替える。正規の代理店やOEMメーカーからの仕入れに改め、仕入れ台帳に品名と仕入れ先を残します。
- 迷う品は地方厚生局に問い合わせる。判断がつかない品を自己判断で扱わないようにします。
取り扱い前のチェックリスト
海外コスメを店内で扱う前に、次の項目を確認します。
海外旅行や海外通販で自分が買った品を、お客様に渡す予定になっていないか
無料のプレゼントやノベルティも「授与」として個人輸入の前提から外れると理解しているか
仕入れ先が営業のための輸入に必要な承認・許可等を持っているか確認したか
日本向けの表示が付いた正規流通品を仕入れているか
サロンオリジナル品は許可等を持つ国内OEMメーカーに委託しているか
仕入れ台帳に品名・仕入れ先・仕入れ日を残しているか
迷う品は地方厚生局に問い合わせてから扱うことにしているか
海外コスメは、お客様との会話のきっかけになる魅力的なアイテムです。だからこそ、個人輸入の枠で扱わず、承認・許可等を持つ仕入れ先を通す形に整えてから、物販やプレゼントに取り入れてください。