ネイルサロンのキャンセルポリシーの定め方と、予約時に同意を得る手順
ネイルサロンの無断キャンセルや直前の取り消しに備えて、キャンセルポリシーを定めるまでの手順をまとめました。消費者庁の公表資料のあたり方、損害の内訳の書き出し方、予約時に同意を得る導線、根拠をたずねられたときの答え方まで順に整理します。
予約の直前に取り消しの連絡が入ったり、時間になっても来店がないまま過ぎたりすると、その枠をどう扱うかをその場で決めることになります。ネイルサロンは一人あたりの施術時間が長く、席も限られています。そこで考えるのがキャンセルポリシーですが、いざ文面にしようとすると「どこまで書いてよいのか」で手が止まりがちです。ここでは、公表資料のあたり方から、予約の場面ごとに伝える内容をそろえるところまでを順に整理します。
まず公表資料にあたる
消費者庁のページでは、消費者が事業者と取り決めをするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差があるという前提が示されています。そのうえで、消費者の利益を守るため、不当な勧誘による取消しと不当な条項の無効等が規定されていると説明されています。自分のサロンの規約を書き始める前に、この説明を一度そのまま読んでおきます。
同じく消費者庁では「解約料の実態に関する研究会」が開かれており、「キャンセル料に関する消費者の意識調査」の報告書や集計表、分析書が公表されています。取り消しの取り扱いを考えるときは、こうした一次資料を先に確かめて、どんな論点が整理されているかを自分の目で追います。
また「特定商取引法ガイド」では、特定継続的役務提供として、エステティックサロンや語学教室などの役務が対象とされていることが説明されています。回数をまとめた取り決めや継続の取り決めを設けるつもりがあるなら、自分のメニューの提供のしかたがどの区分にあたるのかを、この案内で確かめておきます。
損害の内訳を自分の言葉で書き出す
キャンセル料を定めるなら、その根拠を自分で説明できる状態にしておきます。頭の中にあるだけでは、たずねられたときに言葉になりません。次の項目を、実際のサロンの動き方に沿って書き出します。
空いた枠の扱い
予約が入っていた時間を、当日どう使うことになるかを書く
人の時間
一人の店であっても、その時間に何をしていたかを記録に残す
個別に手配したもの
そのお客さま向けに用意した材料があれば控えておく
準備と片づけ
予約に合わせて動いた分の作業を、工程ごとに書き出す
別の予約を受けられるか
当日枠の受付をどこまで開けているかを整理する
書き出した内訳は、一つの文書にまとめて保管します。前日・当日・連絡がないまま、といった場面ごとに扱いを分けるなら、それぞれの場面で何が起きるのかを、この内訳に対応させて書いておきます。
予約の場面ごとに、伝える内容をそろえる
規約は、書いてある場所と、伝わる回数でつまずきます。予約を受けてから来店までの流れに沿って、どこで何を伝えるかを決めます。
予約を受けるとき
規約の全文を示し、同意のチェックを必須の項目にする
前日まで
変更や取り消しの連絡手段と、受け付けの締め切りを案内する
当日の来店前
リマインドの案内文で、規約の置き場所をもう一度伝える
連絡がないまま時間が過ぎたとき
記録を残し、あらかじめ決めた手順どおりに案内する
規約の置き場所は、ホームページ・LPの中に固定のページを一つ作り、予約フォームからも同じページへ行けるようにします。予約の完了画面や案内文でも同じ文面を使い、表記を一つにそろえます。同意のチェックは、あらかじめ入った状態にせず、予約する人が自分で入れる形にします。
予約フォームに添える文面は、たとえば次のような形にそろえておきます。
ご予約の変更・お取り消しは、前日の受付時間内までにご連絡ください。それ以降のお取り消し、および当日ご連絡のないお取り消しについては、キャンセルポリシーに沿ってご案内いたします。 □ キャンセルポリシーに同意します(必須)
たずねられたときの答え方を決めておく
キャンセル料の考え方をたずねられる場面は、たいてい急に来ます。その場で考えずに済むよう、答える順番を先に決めておきます。どの規約に沿った案内なのか、内訳に何が含まれるのか、書面でも示せるのか、の順に話します。
「お取り消しの取り扱いは、ご予約の際にご同意いただいたキャンセルポリシーに沿ってご案内しております。内訳には、お取りしていたお時間と、ご予約に合わせて用意していたものが含まれます。書面でもお示しできますので、必要でしたらお送りいたします。」
この文言は、書き出した内訳と同じ言葉づかいにしておきます。案内で使う言葉と、手元の文書の言葉が違っていると、説明のたびに言い換えることになります。
規約の中身を改めたときは、ホームページ・LP、予約フォーム、案内文、店内の掲示と、載せているすべての場所を一件ずつ確かめて、表記をそろえます。どこか一か所だけ古い文面が残っていると、どちらが今の取り決めなのかを、その場で説明しなければならなくなります。