ネイルサロン開業前に整える衛生管理の手順と自主点検チェックリスト
ネイルサロンの開業準備で迷いやすい衛生管理について、施術範囲の整理から作業スペースの区分け、器具の取り扱い、責任者の決め方までを手順にまとめました。自主点検チェックリストと、開業までの流れをたどる図解も用意しました。ホームページやLPでの伝え方にも触れます。
ネイルサロンの開業準備を進めていると、内装や什器の話は前に進むのに、衛生まわりだけが後回しになりがちです。届出のいる業種なのかどうか、どこまで自分で決めてよいのかがはっきりしないまま、工事の日程だけが近づいてくる、という状態です。
衛生の決めごとは、内装の図面や器具の選び方と結びついています。あとから決めようとすると、区切りの位置や手洗いの場所を描き足せず、開業後の運用でしのぐことになります。ここでは、開業準備のどの場面で何を決めておくかを、順番に整理していきます。
まず「自分の店で何をするか」を書き出す
最初にやるのは、提供するメニューの範囲を紙に書き出すことです。爪を整える、色をのせる、長さを出す、フットを扱う、まつ毛まわりに広げる——扱う施術を分けて一覧にすると、自分の店がどの決まりの話に関わるのかが見えてきます。
そのうえで、届出が必要かどうかを、店舗のある自治体の窓口に確かめます。電話でも窓口でも構いませんが、確かめた日付と、どの窓口に聞いたかを控えておきます。条文そのものを読みたいときは、e-Gov法令検索から法令を引くことができます。厚生労働省のサイトでは、政策分野の一覧に「生活衛生」の区分が置かれています。
窓口に聞く前に、先ほどの一覧を手元に用意しておきます。「ネイルサロンです」とだけ伝えるより、扱う施術を読み上げたほうが、話が具体的になります。
物件を探し始めるころ
提供するメニューの範囲を書き出し、届出の要否を店舗のある自治体の窓口に確かめます
内装の図面を描くとき
作業スペースをどこで区切るか、手洗いと換気をどう取るかを図に書き込みます
什器と器具を選ぶとき
使い回す器具と使い切る材料を分けて一覧にし、消毒の手順を決めます
スタッフを迎える前
衛生管理の責任者を決め、教える内容と点検の頻度を紙にまとめます
開業を告知する前
ホームページ・LPに載せる衛生の項目を決め、店内の掲示と言葉をそろえます
作業スペースと器具の扱いを図面の段階で決める
作業スペースについては、待合や物販の場所との境目をどこに置くかを、図面に描き込んでおきます。カーテンなのか、パーテーションなのか、造作で仕切るのか。工事に入ってからでは動かせない部分なので、図面を描く段階で決めておきます。
手洗いのできる場所と、そこまでの動線も同じ図に描きます。施術の途中で手を洗う場面を思い浮かべながら、椅子から何歩で届くかを確かめると、位置の判断がしやすくなります。換気の取り方と照明の当たり方も、同じタイミングで書き込んでおきます。
器具は、使い回すものと使い切るものに分けて一覧にします。分けたうえで、使い回す器具それぞれについて、どう扱うかを手順として紙に書き、スタッフの目に入る場所に貼り出します。頭の中にあるだけの手順は、人が増えたときに引き継げません。
材料の扱いについては、日本ネイリスト協会(JNA)のサイトに「JNAネイルサロン等化学物質管理講習会」が講習の一覧として掲載されています。内容を確かめたうえで、受講するかどうかを検討します。
責任者を決めて、点検を記録に残す
衛生の決めごとは、担当を決めないと点検が止まります。誰が責任を持つのか、どのくらいの頻度で店内を点検するのか、記録をどこに残すのかを、開業前に決めておきます。ひとりで始める場合も同じで、自分が担当だと決めて、点検の日を先に押さえておきます。
記録の様式は、凝ったものでなくて構いません。日付、点検した人、気づいた点を書く欄があれば足ります。書く欄が決まっていると、点検が「見て回るだけ」で終わらなくなります。
日本ネイリスト協会(JNA)のサイトでは、認定サロンについて「JNA認定の衛生管理責任者『ネイルサロン衛生管理士』が在籍し、JNAが定めた『衛生管理自主基準』を守っています」と説明されています。あわせて、検定・資格の一覧に「ネイルサロン衛生管理士講習会」「技術管理者講習会」が掲載されています。自分の店でどこまで取り入れるかは、講習の内容を確かめてから判断します。
開業の進め方そのもので迷ったときは、J-Net21に「業種別開業ガイド」「起業マニュアル」「起業・創業の相談窓口」が用意されています。
提供するメニューの範囲を書き出したか
施術ごとに分けて一覧にします
届出の要否を自治体の窓口に確かめたか
確かめた日付と担当窓口を控えます
作業スペースの区切り方を図にしたか
待合や物販の場所との境目を描きます
手洗いの場所と換気の取り方を決めたか
施術の椅子からの動線もあわせて描きます
器具を使い回すものと使い切るものに分けたか
扱いの手順を紙にして貼り出します
衛生管理の責任者を決めたか
担当者・点検の頻度・記録の残し方を書きます
点検の記録を残す様式を用意したか
日付、点検した人、気づいた点の欄を作ります
ホームページ・LPに載せる衛生の項目を決めたか
店内の掲示と同じ言葉にそろえます
決めたことを店の言葉としてそろえる
ここまでで決めた内容は、店の外に向けて説明できる形にしておきます。ホームページ・LPに載せる項目を選び、店内の掲示や予約時の案内と同じ言葉になるようにそろえます。載せる場所によって書き方が違うと、来店したお客さまが確かめにくくなります。
書き出す項目としては、器具の扱い方、作業スペースの分け方、担当を決めて点検していること、といったあたりが挙げられます。どれも、先ほど紙に書いた内容をそのまま短くしたものです。新しく作文するのではなく、決めたことを写していきます。
開業直後は、日々の予約と施術で手一杯になります。だからこそ、衛生の決めごとは、図面を描く段階と器具を選ぶ段階で紙に落としておきます。開業してから思い出して整えるより、準備の途中に組み込んでしまうほうが、あとの手数が少なくて済みます。