ネイルサロン開業前に整理する、産業廃棄物の区分と委託・マニフェストの段取り
ネイルサロンの開業準備で後回しになりがちな、店から出るものの扱いを整理します。産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の区分、許可を受けた処理業者への委託とマニフェストによる確認、開業前に確認しておく項目を、公的な案内に沿って順にまとめました。
ネイルサロンの開業準備では、内装や施術メニュー、集客の準備に時間が向きがちです。一方で、店を開けた初日から毎日発生するのが、オフに使ったコットンやワイプ、使い終えた資材、空になったボトルといった「店から出るもの」の扱いです。ここは思いつきで決めてしまうと後から整理し直す手間がかかる部分なので、開業前のうちに、区分の考え方と外部に委託するときの流れを押さえておきます。
この記事では、公的な案内で確認できる範囲に絞って、区分の枠組み・委託の進め方・開業前に確認する項目の順に整理します。品目ごとにどの区分へ当てはまるかは、店の所在地の自治体や、許可を受けた処理業者に必ず確認してください。
まず押さえる区分の枠組み
東京都環境局の案内では、産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法および同法施行令で定める種類の廃棄物をいう、と説明されています。あわせて、特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性を有し、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう、とされています。
つまり、区分は「サロンだから」「小さな店だから」ではなく、定められた種類に当てはまるかどうかで決まる枠組みになっています。ネイルの施術ではプラスチックの資材、金属やガラスの容器、リムーバーのような揮発性のある液体まで、性質の異なるものが同時に出ます。開業前の段階では、まず自分の店から出るものを品目単位で書き出し、それぞれがどの区分の扱いになるのかを自治体の窓口や委託先の候補に確認する、という順序で進めます。
書き出すときは、施術の流れをそのままなぞると漏れが出にくくなります。準備、オフ、施術、仕上げ、片付けの各場面で手に取るものと、そこで捨てるものを対にして並べてください。
- 品目を書き出す:施術の流れごとに、捨てるものを対で並べる
- 性質をメモする:液体か固形か、揮発性や匂いの有無を書き添える
- 容器を決める:保管に使う容器とふたの有無を品目ごとに決める
- 確認先を決める:自治体の担当窓口と、委託先の候補を先に洗い出す
- 置き場を決める:店内のどこに、どのくらいの間まとめて置くかを決める
委託するときの流れとマニフェスト
東京都環境局の案内では、産業廃棄物は排出事業者が自ら処理するのが原則であり、それができない場合に、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託することができるとされています。さらに、委託しても排出事業者責任が免じられるものではなく、信頼できる処理業者を選定し、処理が適正に行われるために必要な措置を講ずることが求められる、と明記されています。ここが個人サロンでも変わらない前提です。業者に任せたら終わり、という組み立てにはなっていません。
搬出した後の確認に使うのがマニフェストです。日本産業廃棄物処理振興センターの案内では、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)により、委託した産業廃棄物が適正に最終処分されたことを確認しなければならない、と説明されています。マニフェストには電子マニフェストと紙マニフェストがあり、電子マニフェストでは、排出事業者、収集運搬業者、処分業者(中間処理業者、最終処分業者)が、情報処理センターを介したネットワークでマニフェスト情報をやり取りする仕組みとされています。同センターは、廃棄物処理法の規定により、環境大臣から全国で唯一の電子マニフェスト運営主体である「情報処理センター」に指定されている、と案内されています。
どちらの方法で運用するかは、委託先の候補と相談しながら決めます。開業前に決めておきたいのは、票の控えを誰が受け取り、どこに保管し、返ってきたものとどう照合するかという店内の手順です。ひとり店舗でも、施術の合間に処理する前提で置き場と手順を決めておきます。
なお東京都環境局のページでは、廃棄物処理法、PCB特別措置法に基づく届出(一部を除く)について電子申請の受付を開始した、と案内されています。届出や様式の扱いは自治体ごとに異なるため、店を構える地域の案内を確認してください。
物件の手続きを進める時期
店から出る品目を書き出し、性質と量の見当をつける
内装の打ち合わせ中
保管する容器と置き場を図面に反映させる
開業日が決まったら
自治体の窓口に区分を確認し、許可を受けた業者を探す
搬出を始める前
委託先との書面のやり取りと、票の運用手順を決める
開業後
票の控えの保管場所と、確認する担当を固定する
委託先を選ぶときに見る点
委託先を選ぶ場面では、名前や所在地だけでは判断できません。自分の店から出す品目が、その業者の許可の範囲に入っているかどうかを、許可の内容そのもので確かめます。収集運搬と処分では扱いが分かれるため、どちらを誰に委託するのかを整理したうえで、書面のやり取りに進みます。
許可の範囲
自店から出す品目が、その業者の許可に含まれているか
許可の有効期限
書面を交わす時点で期限内かどうかを確かめる
役割の切り分け
収集運搬と処分を、それぞれどこに委託するのかを整理する
搬出の頻度
店の営業日と、引き取りに来てもらう間隔を合わせる
票の運用
交付した控えと返ってきた票を照合する手順と担当を決める
保管の場所
票をまとめておく場所を店内に固定し、開業前に用意する
衛生管理の考え方とあわせて整える
ごみの扱いは、店の衛生管理と切り離せません。日本ネイリスト協会は、同協会が制定した「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」を普及し、ネイルサロンの現場で正しく活用してもらうために「ネイルサロン衛生管理士」資格制度を設けている、と案内しています。講習会はオンラインでも受講でき、受講資格に、ネイルサロンでの実務経験は問わないとされています。開業前に学ぶ先を探しているなら、こうした講習の内容を確認してみてください。
自店のホームページやLPで衛生管理の取り組みを紹介する場合は、講習や公的な案内で確認できた範囲と、店で実際に決めた手順が食い違わないようにそろえておきます。書ける内容が固まっていない段階では、施術の流れと店で決めた手順を先に文章にしておき、ページの原稿づくりはその後に回します。
開業前にやることの順番
最後に、開業前の動き方をまとめます。品目を書き出す、区分を自治体と委託先候補に確認する、許可の範囲が合う業者を探す、書面のやり取りを済ませる、票の運用手順と保管場所を決める、という順で進めます。どの段階も、開店してからでは営業と並行することになるため、内装や施術メニューを固める時期に並べて進めておきます。