ネイルサロンの顧客カルテ、保管と手放し方を先に決める
個人ネイルサロンで増え続けるお客様の記録について、集める項目・置き場所・保管の期間・手放す手順を紙一枚にまとめる決め方を、そのまま写して使えるチェックリストと年間の点検サイクルの形で整理します。
ネイルサロンは、来店のたびにお客様の情報が増えていきます。連絡先、アレルギーや肌の状態の申告、その日のデザインと使った材料、次回のご希望。書き留めた記録は次の来店で役に立ちますが、同時に、店の外に出てはいけない中身でもあります。ひとりで回しているサロンほど、「気づいたときに片づける」では追いつきません。開業前後のうちに、集める項目・置き場所・保管の期間・手放し方までを一度に決めて、紙一枚にまとめておきましょう。
決めるのは「何を・どこに・いつまで・どう手放すか」
最初にやるのは、いま集めている項目の棚卸しです。カウンセリングシート、予約フォーム、メッセージのやり取り、端末に残した写真——記録はひとところにあるとは限らないので、置き場所ごとに書き出します。そのうえで、紙は鍵のかかる引き出し、データは端末とクラウドのどのフォルダ、と置き場所を寄せていきます。
保管の期間は、サロンとしての基準を自分で決めて書き留めます。「最終来店日から◯年」のように起点と数え方(月末で締める、など)まで書いておくと、点検の日に迷わず仕分けできます。扱いに配慮が必要な申告——アレルギーや肌の状態など——を書き留めるときは、何のために書くのか、どこに置くのか、いつどう手放すのかをあらかじめ伝え、署名で同意を受け取る段取りにします。
取り扱いの基準を紙一枚にまとめる
次のチェックリストをそのまま写して、◯や空欄を自分のサロンの言葉で埋めれば、取り扱いの基準の下書きになります。
集める項目
連絡先・体質やアレルギーの申告・施術内容・使った材料・写真の有無を一覧にする
保管の場所
紙は鍵のかかる引き出し、データは端末とクラウドの置き場所をひとところに決める
持ち出しの扱い
自宅や外出先へ持ち出してよいかを決め、可の場合は手順を書き添える
開ける人
自分以外に開ける人がいるなら名前を書き、増えたら書き足す
保管の期間
「最終来店日から◯年」と起点と数え方を書く
点検の日
毎年いつ仕分けするかを決めて、店のカレンダーに入れる
手放す手順
紙とデータそれぞれのやり方と、立ち会う人を書く
残す記録
いつ・何件を手放したかを一行で書き残す欄をつくる
同意の取り方
シートのどこに目的と保管の期間を書き、どこに署名をもらうかを決める
期限が来た記録の手放し方
紙は、第三者から中身が読み取れない状態にしてから捨てます。クロスカットのシュレッダーで裁断するか、情報の抹消を扱う業者へ依頼して溶解してもらう方法があります。業者へ出す場合は、作業が終わったことの証明書を出してもらえるか、持ち出しから処理までを誰が運ぶかを、依頼を決める前に確認しておきます。
データは、目に見えるファイルを消して終わりにしないことです。手放す場所の一覧を先に作ります。端末のフォルダ、クラウドの共有フォルダ、写真アプリ、予約管理の履歴、バックアップ、ゴミ箱。この一覧を見ながら順に消し、最後にもう一度検索して残りがないかを確かめます。仕分けの日と削除の日を分け、二度目に別の目で見る段取りにしておくと、手順として抜けを拾えます。
来店のあと
その日の記録を決めた置き場所にしまい、手元のメモ用紙は残さない
毎月の締め日
端末の写真・下書き・メッセージに記録が残っていないか一覧で確かめる
年に一度の点検日
保管の期間を過ぎた記録を抜き出し、手放す分をまとめる
基準を改めたとき
集める項目を増やしたり減らしたら、案内文と同意欄の文言もそろえて書き替える
案内文はホームページ・LPと店頭でそろえる
お客様に伝える内容は、置き場所によって食い違わないようにします。カウンセリングシートの冒頭に、記録を作る目的・保管の期間・不要になったときの手放し方を書き、末尾に署名欄を置きます。同じ内容の案内をホームページ・LPにも載せ、予約フォームで入力してもらう項目の並びも、シートの項目と同じ順にそろえます。項目を増やしたときは、シート・フォーム・ホームページ・LPをまとめて同じ日に書き替える、と決めておきます。
確認先をあらかじめ決めておく
自分で決めた基準を年に一度たしかめるときの、参照先も先に決めておきます。個人情報保護委員会のサイトには「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」がHTML版とPDF版で掲載され、あわせて新旧対照表も公開されています。内容が改められた回の対照表が並んでいるので、点検日にはこのページを開いて最新版を確かめる、という手順にできます。
もうひとつ、業界の基準を参考にする道もあります。日本ネイリスト協会は「確かな技術を提供し、衛生管理やコンプライアンスなど、高いレベルでお客様に信頼していただける、安全で安心なサロンであることを示す基準」としてJNA認定ネイルサロン制度を設けています。認定を目指すかどうかは別として、こうした基準の項目を眺めながら、自分のサロンの取り扱いの基準に足りない欄がないかを確かめる、という使い方ができます。
お客様の記録は、増えるスピードのほうが片づけるスピードより速くなりがちです。だからこそ、集めるときの言葉・置き場所・手放す日を最初に紙一枚へ落としておき、あとは決めた日に決めたとおり動かす。開業前後の落ち着かない時期にこそ、この一枚を作っておきましょう。