カフェのメニュー表記を整える手順|自家製・産地直送・有機の書き方
カフェのメニューやホームページ・LPで使う「自家製」「産地直送」「有機」といった表現を、手元の記録で説明できる形に整えるための手順をまとめました。開業準備の段階で組み込む流れ、店内で使えるチェックリスト、欠品時の対応までを解説します。
メニューを組み立てていると、「自家製グラノーラ」「産地直送のいちご」「有機栽培の豆」といった言葉を書きたくなります。素材や作り方に手をかけているほど、その良さを伝えたくなるのは自然なことです。
一方で、こうした言葉は「お店が何をしているか」をお客様に約束する言葉でもあります。書いた内容と実際の中身がずれていないか、自分の手元にある記録で説明できるか。開業の準備段階でここをそろえ、メニュー表・卓上の掲示・ホームページ・LPのどこを見ても同じことが書かれている状態にしておきましょう。
メニューの言葉が関わるルールを知っておく
消費者庁は、景品表示法について「消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります」と説明しています。そのうえで、景品表示法は商品やサービスの品質や内容を偽って表示を行うことを規制する法律だとしています。
同庁のページには「表示規制の概要」「景品規制の概要」「違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」といった項目が並び、景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口も案内されています。判断に迷う表現が出てきたときは、こうした公的な案内を確認先として持っておきましょう。
食品の表示そのものについては、農林水産省が「食品表示法、米トレーサビリティ法、牛トレーサビリティ法(牛肉)、食糧法、農産物検査法、水産流通適正化法、JAS法(有機JAS関係)に基づく食品表示・情報の伝達に関する監視・指導など」を紹介しています。同省は、不審な食品の表示を見かけた際の情報提供を受け付けており、表示の真偽の確認には独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)等によるDNA分析等の科学的手法を用いるとしています。書いた言葉は後から確かめられる対象になり得るものとして、根拠を手元に残しながら準備を進めましょう。
開業準備のどこで何を決めるか
表現の裏づけを集める作業は、メニュー表を印刷する直前にまとめて行うのではなく、食材を選ぶところから逆算して各段階に割り振ります。
メニューを考える段階
アピール表現を使いたい食材を書き出す
仕入れ先を選ぶ段階
産地や栽培方法の証明書を出してもらえるか尋ねる
メニュー表を作る段階
手元の記録で説明できる表現だけを残す
開店の直前
卓上メニュー・店頭の掲示・ホームページ・LPの言葉をそろえる
開店したあと
季節ごとの入れ替えのたびに記録と表記を突き合わせる
仕入れ先へ証明書を頼むときは、口頭ではなくメールなど文面に残る形で依頼し、返信をそのまま保管しておきます。依頼の文面は、対象の食材名、知りたい項目(産地、生産者、栽培方法、認定の有無)、いつまでに欲しいかを並べるだけで足ります。取引が始まってからではなく、取引先を選ぶ段階で「この書類を出してもらえますか」と尋ね、返答を記録しておきます。
店内で回すチェックリスト
メニューが固まったら、表記をひとつずつ確認します。確認の担当を決め、確認した人と日付を書き添える欄を作っておきましょう。
自家製と書いた品
店内でどこまで作っているかを工程で説明できるか
産地直送と書いた品
仕入れの経路を伝票などの記録でたどれるか
有機・オーガニックの表記
仕入れ先に認定に関する書類の写しを求めたか
厳選・限定などの言葉
何を指しているかを自分の言葉で言えるか
メニュー写真
実際にお出ししている状態と同じか
ホームページ・LPの表記
メニュー表と同じ言葉になっているか
確認は、書いた本人以外がもう一度目を通す形にします。仕入れの事情を知らない人に読んでもらい、書かれた言葉だけで同じ意味に受け取れるかを聞き取る役を置きましょう。
仕入れが変わったときにどうするか
天候や入荷の都合で、いつもの食材が欠品することがあります。メニュー表の言葉をそのままにするか、その日だけ伝え方を変えるかを、あらかじめ決めておきましょう。
代わりの食材を使う日は、卓上のカードや黒板で「本日は◯◯産に変えてお出ししています」と伝える形を決めておきます。誰が書き替えるか、どこに置くか、元に戻すのはいつかまでを開店前に決め、スタッフ全員が同じ手順で動けるようにしておきましょう。ホームページ・LPに常設で載せている説明文についても、仕入れ先が変わったタイミングで文面を確認する担当を決めておきます。
季節ごとにメニューを入れ替えるカフェなら、入れ替えのたびにこの確認を挟みます。新しく足した品だけでなく、前から出している品の説明文も対象に含め、仕入れの経路が当初と変わっていないかまで確かめてください。
書ける言葉から組み立てる
裏づけを用意できない表現は、無理に使わないという選び方もできます。産地を書けないなら、焙煎の仕方や抽出の温度など、自分の店で決めていることを書く。生産者名を出せないなら、その豆を選んだ理由を書く。手元の記録で説明できる範囲に言葉を寄せ、伝えたい特徴を別の切り口から書いてみましょう。
開業前の忙しい時期に書類を集めるのは手間のかかる作業です。それでも、メニュー表・店頭の掲示・ホームページ・LPの言葉を、同じ記録から説明できる形でそろえるところまでを開業準備の一部として組み込んでおきましょう。