カフェの自家製シロップ・ジャムを瓶詰めで売る前に確かめる許可区分と保健所相談の進め方
店で出している自家製シロップやジャムを瓶詰めにして店頭やネットで売りたいカフェオーナー向けに、飲食店営業の範囲と別の許可・届出の境目、容器と食品表示の確認点、保健所へ持参する資料の整え方を手順で説明します。
店で仕込んでいる自家製のフルーツシロップやジャムを、瓶に詰めて店頭に並べたい。ホームページ・LPから注文を受けて発送もしたい。そう考えたときに最初に確かめたいのが、「いまの飲食店営業の許可の範囲で売れるのか、それとも別の許可や届出が要るのか」です。この記事では、その境目をどう整理して保健所に相談するか、窓口に持っていく資料の作り方までを順に説明します。
飲食店営業の範囲か、別の許可・届出かを分ける三つの軸
食品衛生法の改正で、HACCPに沿った衛生管理が制度化され、食品等事業者を把握するための営業届出制度が創設されました。あわせて、食中毒等のリスクや食品産業の実態を踏まえて、営業許可が必要な業種も改められています(厚生労働省)。カウンターで注いでその場で手渡す飲み物と、密封して日持ちさせる瓶詰めを同じ扱いで考えず、自店の商品がどの区分に当たるかを商品ごとに保健所で確認します。
窓口では、商品を次の三つの軸で整理して伝えます。
- 保存形態。常温で日持ちさせるのか、要冷蔵で短い期限にするのか。殺菌や充填の温度、瓶の密閉方式とあわせて伝えます。
- 流通形態。店頭で対面で渡すだけか、ホームページ・LPや通販サイトから注文を受けて発送するのか。ほかの店に卸すつもりがあるかも含めます。
- 製造の場所と設備。いまの厨房で仕込むのか、別に区画を設けるのか。手洗いや器具の洗浄、温度管理の設備を図面で示せるようにしておきます。
この三つを商品ごとに書き出し、「この商品はどの区分に当たりますか」と聞く形で相談します。シロップは要冷蔵、ジャムは常温、と商品で保存形態が分かれるなら、それぞれ別の商品として整理します。
瓶と表示は、レシピと同じくらい早く決める
容器については、食品衛生法の改正で、食品用器具と容器包装について安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度が導入されています(厚生労働省)。瓶・ふた・パウチを選ぶときは、仕入れ先に制度への対応状況を確認し、材質と密閉方式を仕様書として控えておきます。
表示については、瓶やパウチに詰めて売るなら、ラベルに何を書くかを食品表示法と食品表示基準に照らして整理します。食品表示法にはアレルゲンや消費期限に関する規定があり、食品表示基準は改正案の意見募集が行われるなど内容が動いています(消費者庁)。ラベルの案は、名称・原材料・アレルゲン・内容量・保存方法・期限・製造者の欄を仮置きして作り、必要な項目と書き方を保健所の窓口と消費者庁のページで確かめます。
容器と表示はレシピと同じ時期に決め、瓶の仕様書とラベル案をレシピと一緒に保管しておきます。
保健所へ持参する事前ヒアリングシート
相談のときは、商品ごとに一枚のシートにまとめて持参します。次の項目を埋めておきます。
商品名とレシピ
原材料の配合比、糖度と酸度の想定
製造工程表
加熱・殺菌の温度と時間、充填の温度、冷却の方法
容器の仕様
瓶・ふた・パウチの材質、密閉方式、仕入れ先の対応状況
保存温度帯
常温か要冷蔵か、想定する期限の長さ
販売チャネル
店頭、ホームページ・LPからの通販、卸の有無
製造場所の図面
仕込む区画、手洗いと器具洗浄、温度管理の設備
ラベル案
名称・原材料・アレルゲン・内容量・保存方法・期限・製造者の欄
想定が固まっていない欄は空欄のままにせず、「常温で考えているが要冷蔵でも可」のように幅を持たせて書きます。窓口で得た回答は、日付と窓口名とあわせてシートの余白に残し、次の相談や申請のときにそのまま持参します。
相談から販売開始までの進め方
販売を思い立ったら
商品ごとに保存形態・流通形態・製造場所を書き出す
内装や容器を発注する前
図面と工程表を持って保健所へ事前相談し、区分と施設の要件を聞く
区分が決まったら
必要な許可申請または届出の書類を整え、容器と仕入れ先を確定する
ラベルを刷る前
表示項目の案を窓口と消費者庁の情報で確かめる
販売開始前
店頭のポップとホームページ・LPの商品ページに、保存方法と期限を同じ表現で載せる
順番は「相談してから発注」で固定し、内装工事と容器の発注は区分と施設の要件を聞いてから進めます。ホームページ・LPで通販を始める場合も、商品ページの文言はラベルと同じ内容にそろえ、保存方法と期限の書き方が店頭と食い違わないようにしておきます。