カフェのアレルギー表記と混入の注意書き|線引きと文面の決め方
カフェで食物アレルギーを聞かれたときに慌てないための決め方をまとめました。対応の線引き、調理環境の棚卸し、混入への注意書きの文面、注文時の確認の流れ、メニュー表とホームページ・LPの表記をそろえる手順まで、開店前から順に整理します。
「卵は入っていますか」「小麦は避けたいのですが」。カウンター越しにこう聞かれたときの答え方は、その場ではなく開店前に決めておきます。誰が受けても同じ言葉を返せるところまで、店の側で形にしておくということです。
ここでは、開店前に決めておくことを順番に並べます。決めるのは三つです。どこまで対応するかの線引き、調理場で何を共有しているかの書き出し、そして聞かれたときの受け答えの形です。
まず、対応の線引きを決める
消費者庁のページには、食物アレルギーについて「食物を摂取した際、身体が食物に含まれるたんぱく質等(アレルゲン)を異物として認識し、自分の体を過剰に防御することで不利益な症状を起こすこと」と書かれています。また、症例数や重篤度を踏まえて特定原材料を定めており、「容器包装された加工食品について、当該特定原材料を含む旨の表示を義務付けています」とあります。同じページには「アレルギー表示とは」の資料や、特定原材料等の図、法令等への案内も置かれています。自店の提供の形がどう扱われるかは、この一次情報にあたって確かめてください。
そのうえで、店としてどちらの線で運用するかを先に決めます。
- 特定の材料を使わないメニューを別に用意する
- 使っている材料と、調理場で共有しているものを伝えて、判断は来店者に委ねる
決めたら紙に一行で書き、働く人全員が同じ文を読める場所に貼ります。途中で線を動かしたくなったら、メニュー表とホームページ・LPの表記まで同じ日にそろえます。
調理場で何を共有しているかを書き出す
注意書きの文面は、頭の中で考えずに、実際に共有しているものを数え上げてから決めます。次の項目を一つずつ見て回り、共有しているものに印を付けてください。
まな板と包丁
材料ごとに分けているか、一枚を洗って使い回しているか
トング・菜箸・お玉
パン用、サラダ用など用途で分けているか
フライヤーの油
何と何を同じ油で揚げているか
鉄板・グリル・オーブン
同じ面で焼いているもの
ミキサー・ブレンダー
分解して洗える部品と、洗いにくい部品
製氷機とドリンクディスペンサー
共有しているノズルや注ぎ口
洗浄と収納
ふきん、スポンジ、盛り付け皿の置き場
粉の扱い
小麦粉やきなこを開ける場所と、近くに置いてある器具
印が付いた行を、そのまま次の注意書きに書き写します。
注意書きは「共有しているもの」を具体的に書く
文面は次の順で組み立てます。
- 主語を店にする(「当店では」で始める)
- 共有している設備や器具を、印を付けた行のとおり具体名で書く
- 材料を変えることがある旨と、変えたら表記を書き換える旨を書く
- 気になる点は注文前に聞いてほしい、と受付の入口を示す
「対応できません」の一行だけで終えず、何をどう共有しているかまで書きます。文面が決まったら、メニュー表、ホームページ・LP、予約フォームの三か所に同じ文を置きます。どこか一か所を書き換えたときは、残りも同じ日にそろえます。
聞かれたときの受け答えを形にする
聞かれたその場で考えずに済むよう、次の三点を先に決めます。
- 材料の有無に答える担当を決める(担当が不在のときの連絡先も決める)
- 答え方の言葉をそろえる(「大丈夫だと思います」は使わない、と決めておく)
- 材料表を厨房のどこに置くか決め、注文を受けた人がその場で開けるようにする
消費者庁は「【動画】外食・中食での食物アレルギーについて(基礎編)」というページで動画を公開しています。ページは全体向け、外食・中食の従業員向け、外食・中食の経営者向けに分かれています。全体向けには「外食・中食における食物アレルギーの現状」が置かれ、エピペンの使い方を含む緊急時対応や、一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」、東京都「食物アレルギー緊急時対応マニュアル(2025年3月版)」への案内もあります。従業員向けには「取組の必要性」「食物アレルギーに関する情報提供」「メニューの企画・開発時のポイント」「調理時のポイント」「接客時のポイント」「事故が発生したら」が並びます。英語、中国語、ベトナム語の字幕付きの案内も同じページにあります。開店前に全員で見る時間を取り、見た人の名前を控えておいてください。
開店までの並べ方
開店2か月前
対応の線引きを決め、一行で紙に書く
開店1か月前
調理場の共有物を書き出し、印を付ける
開店3週間前
注意書きの文面を作り、答える担当を決める
開店2週間前
消費者庁の動画を全員で見る時間を取る
開店1週間前
メニュー表・ホームページ・LP・予約フォームの表記をそろえる
開店後
材料や仕入れを変えた日に、掲示しているすべての表記を同じ日に書き換える
最後に一つ。仕入れが変わった日に表記だけ古いまま残らないよう、材料を変える判断をした人が、その場で表記を書き換えるところまで担当する、と決めておいてください。