カフェの食べ残し持ち帰り対応、衛生と説明の店内ルールをつくる
食べ残しの持ち帰りを求められたとき、店として何を確かめ、何を伝えるか。カフェの現場で誰が対応しても同じ答えになるように、対象メニューの決め方、口頭での説明、記録の残し方、ホームページ・LPでの案内までを、公的機関の資料で確認できる範囲の手順としてまとめます。
「残った分を持ち帰りたいです」とお客様から言われたとき、その場の判断で容器を出してしまうと、対応する人によって答えが変わります。カフェのように少人数で回すお店ほど、誰が受けても同じ答えになる形を先に決めておきます。
ここでは、公的機関が公開している資料で確認できる範囲に絞って、持ち帰りに応じるときの店内ルールの組み立て方を手順にします。
まず決めるのは「どのメニューを対象にするか」
厚生労働省は、テイクアウトやデリバリーについて「調理してからお客さんが食べるまでの時間が長く、気温の高い時期は、特に食中毒のリスクが高まります。衛生管理を徹底し、食中毒にご注意ください!」と呼びかけています。調理から口に入るまでの時間が延びる点は、店内で出した料理をお客様が持ち帰る場面にも共通します。
そこで、対象にするメニューと対象外にするメニューを、その場の判断ではなく紙の一覧で決めておきます。判断に迷うものは、迷った時点で対象外の欄に書き出しておきます。
対象にするメニュー
十分に加熱して提供しているものから選び、名前で一覧にする
対象外にするメニュー
生もの、半生、冷たいクリームなど、迷ったものは名前で書き出す
判断する人
店長が不在の時間帯に誰が判断するかを決めておく
使う容器
どの容器を使い、どこに置くかを決めておく
詰める作業
誰が容器に詰めるかを決め、全員で同じやり方に揃える
掲示場所
バックヤードの見える位置に一覧を貼り、日付を書き入れる
一覧は完成させて終わりにせず、新しいメニューを出すたびに、対象か対象外かを同じ紙に書き足していきます。
その場で伝えることと、残しておく記録
持ち帰りに応じる場面は、レジ前のごく短いやり取りで終わります。伝える内容を短い文にして、レジのそばに置いておきます。
- 申し出を受けたら、そのメニューが対象一覧に載っているかを確かめます。
- 対象外だった場合に何と伝えるかも、あらかじめ文にしておきます。
- 持ち帰ったあとの保管と、いつまでに食べていただきたいかを口頭で伝えます。
- 注意事項を書いた紙を、容器と一緒に渡します。
- 誰が対応し、何を伝え、紙を渡したかを、伝票かレジのメモに残します。
- 閉店後に、その日の持ち帰り対応をスタッフで共有します。
記録の欄は、伝票に丸を付けるだけ、レジのメモに一行足すだけといった形にしておくと、混雑時でも同じ手が動きます。
環境省の啓発資材を使うときの手順
環境省は「飲食店での食品ロス削減を推進するため、食べ残しの持ち帰りを促す際に活用いただける資材を作成しました」として、ダウンロードページを公開しています。ここには飲食店向けの注意チラシやロゴマークが置かれています。
利用の手順もこのページに書かれています。「ロゴマークおよび啓発資材は各自ダウンロードし御自由に御活用ください。使用の際には使用申請書にご記入のうえで、メールにてお送りください」とされ、「啓発資材の現物支給は行っておりませんので、御自身で印刷をお願いいたします」とも記載されています。また、特定の政治・思想・宗教・募金等の活動と結び付けた使用は禁止されています。自店で印刷して使う前提で、印刷する枚数と置き場所まで決めておきます。
今週
対象メニューと対象外メニューの一覧を作り、バックヤードに貼る
今週
使う容器と、詰める手順を決める
来週
口頭で伝える内容を短い文にして、レジのそばに置く
来週
環境省のダウンロードページから資材を入手し、必要な枚数を印刷する
月内
記録の残し方を決め、伝票かレジのメモに項目を足す
毎月
一覧と伝える文をスタッフで読み合わせ、変わった点を書き足す
来店前に読める場所にも同じ文言を置く
持ち帰りに応じる範囲、対象外にしているメニュー、持ち帰ったあとにお願いしたいことは、店内の掲示だけでなく、ホームページ・LPにも同じ文言で載せておきます。文言を二か所で別々に書くと、更新したときにずれます。店内の紙とホームページ・LPで、どちらを元の文にするかを決めておきます。
制度そのものを調べたいときの入口も決めておきます。消費者庁の食品ロス削減のページでは、「食べ残し持ち帰り促進ガイドラインに関する研修会」の開催が案内されています。厚生労働省の食中毒のページには、事業者向けの衛生管理に関するガイドラインや関係通知の情報がまとめられており、「冬は特にご注意!ノロウイルス」「できていますか?衛生的な手洗い」といった掲示用の資料も公開されています。
持ち帰りへの対応は、断るか応じるかの二択ではなく、対象メニューの線引き、伝える文、残す記録の三つを紙にする作業です。三つとも一枚ずつ作れば、次に同じ場面が来たときに、誰が立っていても同じ手順で動けます。