カフェのデザイン外注で知っておきたい取適法とフリーランス法の基本
ロゴやメニュー表、ホームページ・LPのデザインをフリーランスへ外注する前に知っておきたい、取適法(旧下請法)とフリーランス法の基本と、メール・チャットで取引条件を明示する発注の段取りを解説します。
開業準備が進むと、ロゴやメニュー表、ホームページ・LPのデザインを、フリーランスのデザイナーへお願いする場面が出てきます。このとき見落としやすいのが、「発注する側」に求められるルールです。物件や営業許可の手続きと同じように、外注にも押さえておきたい決まりがあります。この記事では、公正取引委員会が案内している取適法(旧下請法)とフリーランス法のポイントと、メール・チャットで発注するときの段取りをまとめます。
下請法は「取適法」へ変わりました
公正取引委員会のサイトによると、下請代金支払遅延等防止法(いわゆる下請法)は、発注者・受注者の対等な関係に基づき取引の適正化を図るための法改正により、「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」へと名前が変わりました。改正のポイントとしては、「協議を適切に行わない一方的な代金決定の禁止」「手形払等の禁止」「適用基準への従業員基準の追加」などが挙げられています。
自分のお店がこの法律の対象になるのか気になったら、特設サイトの「簡易診断ツール」を使ってみましょう。事業者情報として資本金の額・従業員数・委託内容を選ぶと、取適法の適用対象となる委託かどうかを確かめられると案内されています。「個人のカフェだから関係ない」と決めつけず、まずここで自分の立ち位置を確認するところから始めるのが安心です。
フリーランスに発注するときに確認したいこと
取適法とは別に、フリーランスへの発注についてはフリーランス法があり、公正取引委員会が特設サイトでQ&Aを公開しています。カフェのロゴやホームページ・LPをフリーランスのデザイナーへお願いする場面では、次の点を押さえておきましょう。
まず、取引先がフリーランス法で定義する「特定受託事業者」(フリーランス)に該当するかの確認です。Q&Aでは、確認方法にこうしなければいけないというルールはなく、口頭で確認することも可能ですが、トラブル防止の観点から、双方にとって過度な負担とならず、記録が残る方法(例えば電子メール)で確認することが望ましいと案内されています。
次に、取引条件の明示です。明示事項の記載方法として決まった様式はなく、明示事項をメールに箇条書きで記載する方法でもよいとされています。書面で示す場合も、書面の名称は何でもかまいません。一方で、あらかじめ書面を取り交わしていたとしても、そこに明示事項がすべて載っていなければ、取引条件の明示としては不十分とされています。SNSで送る場合は、ダイレクトメッセージのように受信者を特定してメッセージを送れる機能に限られ、不特定多数に向けたタイムラインへの投稿は認められません。
あわせて、発注側の禁止行為も知っておきたいところです。特設サイトでは「報酬の減額」や、フリーランスに責任がないのに給付の内容を変更させてフリーランスの利益を不当に害する行為などが、禁止行為として挙げられています。デザインの方向性を途中で大きく変えたくなったときこそ、一方的に求めるのではなく、条件のすり合わせから入るようにしましょう。
メール・チャット発注の段取り
実際の発注は、次の流れで進めましょう。
- まず、お願いしたい内容を文章にします。ロゴ、メニュー表、ホームページ・LPなど、何のデザインを、どこで使うのかを書き出します。
- 次に、相手が特定受託事業者に該当するかを、メールなど記録が残る方法で確認します。
- 発注が決まったら、取引条件を箇条書きにして、メールかダイレクトメッセージで送ります。内容を途中で変えるときも、口頭で済ませず同じ形で送り合います。
- やり取りは消えない場所に残します。電話や対面で話した内容も、あとから文章にして送っておきます。
送る箇条書きに何を入れるか迷ったら、次のチェックリストを埋める形で書いていきましょう。
お願いする内容
何のデザインを、どこで使うかを具体的に書く
仕上がりの形
データの形式と受け取り方を決めて書く
報酬
額の決め方と支払いの時期を、あらかじめ話し合って書く
変更依頼の進め方
対応する回数や範囲を、はじめに決めて書き残す
取りやめのとき
途中でやめる場合の扱いを決めておく
連絡手段
記録が残る方法にそろえ、口頭の合意も文章で送る
デザインの外注は、お店づくり全体から見ると小さな一歩に見えますが、条件を文章にして送るところまでが発注です。まずは公正取引委員会の特設サイトで簡易診断ツールとQ&Aを確認し、最初の発注文をひとつ用意するところから始めてみてください。