カフェの焼き菓子を店頭で売るときの食品表示ラベルの整え方
カフェの店内で焼いたクッキーやマフィンを袋詰めして並べるとき、表示ラベルに何を書くか迷いやすい部分を整理します。売り方の書き出しからアレルゲンの照合、自治体の相談窓口での確認まで、開業準備中のオーナーが順に進められる手順としてまとめました。
店内で焼いたクッキーやマフィンを、持ち帰り用に袋へ詰めて店頭に並べたい。そう考えたときに最初に引っかかるのが、袋に貼るラベルです。何をどこまで書くのかは、同じ焼き菓子でも売り方によって検討するところが変わります。ここでは、開業準備中でも手を動かせる順番に沿って、ラベルづくりの進め方を整理します。
まず「どう売るか」を分けて書き出す
同じクッキーでも、店内の皿に載せて出すのか、注文を受けてからその場で袋に詰めて渡すのか、あらかじめ包んで棚に並べておくのか、店の外のイベントに持ち出すのかで、考える中身は別々になります。頭の中でまとめて考えていると、あとで人に相談するときに、何を聞けばいいのかが定まりません。
消費者庁は、容器包装された加工食品について、特定原材料を含む旨の表示を義務付けている、と案内しています。あらかじめ包んで並べるやり方をとるなら、包装に何を載せるかは、開店前に決めておく項目になります。まずは自分の店でやりたい売り方を、種類ごとに紙へ書き出してください。売り方を分けたら、それぞれについて何を用意するのかを、あとの手順で埋めていきます。
焼き菓子ごとの材料表をそろえる
ラベルはレシピからではなく、「材料表」から作ります。レシピは分量と工程が中心ですが、ラベルに必要なのは、何が入っているかの一覧だからです。焼き菓子ごとに、使ったものをすべて書き出します。このとき見落としやすいのが、仕入れたもの自体が加工食品になっている材料です。チョコレート、マーガリン、ミックス粉、トッピング用のナッツなどは、その袋に貼られている表示を写して控えておきます。
アレルゲンの照合は、控えた材料表と、消費者庁のアレルギー表示のページを突き合わせて行います。同ページには、特定原材料として「くるみ」を追加したこと、特定原材料に準ずるものとしてマカダミアナッツを追加しまつたけを削除したこと、アーモンドを追加したことのお知らせが掲載されています。手元の古いメモだけで照合すると拾い落としが起きるので、確かめるときは同ページを開いて、最新の案内を見ながら進めます。
ラベル案を作り、窓口で確認する
材料表がそろったら、印刷にかける前の段階でラベル案を作ります。焼き菓子ごとに書き分けるので、共通で使い回す部分と、菓子ごとに変わる部分を分けておくと、あとで扱いやすくなります。
売り方の書き出し
店内で出す・その場で詰めて渡す・包んで並べる・店の外に出す、を分けて書く
焼き菓子ごとの材料表
仕入れた材料の袋に貼られた表示まで写して控える
アレルゲンの照合
材料表を消費者庁のアレルギー表示のページの案内と突き合わせる
ラベル案の作成
名称、原材料、アレルゲン、期限、保存方法、作り手の名前と所在地を並べる
窓口での確認
自治体の食品表示の相談窓口にラベル案を持ち込んで見てもらう
店頭で聞かれたときの備え
対面で材料を聞かれたときに出す確認シートやPOPを用意する
案ができたら、自分で調べるだけで終わらせず、公的な案内と窓口の両方に当たります。消費者庁のパンフレットのページには、事業者向けの「早わかり食品表示ガイド」や、消費者向けの「知っておきたい食品の表示」、製造業向けの「その食品表示、大丈夫?」が掲載されています。食品表示法等のページには、食品表示基準Q&Aや、事業者向けの栄養成分表示のためのガイドラインが掲載されています。
窓口については、自治体のページを開いて探します。たとえば大阪府のページには「大阪府内食品表示相談窓口一覧」があり、あわせて「食品の表示方法」「食品表示を学んでみよう」「食品衛生に関する手続き」といった案内が並んでいます。自分の店を管轄する自治体のページで同じような窓口の案内を探し、ラベル案を持って相談に行きます。
対面で聞かれたときの答え方も用意する
店頭では、棚の菓子を手に取ったお客様から、その場で材料を尋ねられることがあります。そのたびに厨房へ確認しに行くと、レジが止まってしまいます。焼き菓子ごとの材料表をまとめた控えを作り、レジの内側に置いておくと、その場で答えられる形になります。
消費者庁のパンフレットのページには「食物アレルギーコミュニケーションシート」も掲載されています。同ページには、シートはファイルをダウンロードしてから利用していただく必要がある、という注意書きが添えられています。使う場面があるかを見て、必要なら店頭に置く形を決めておきます。
販売を決めたら
売り方の分け方と、店頭に出す焼き菓子の顔ぶれを書き出す
材料が固まったら
焼き菓子ごとの材料表をそろえ、アレルゲンを照合する
ラベル案ができたら
自治体の食品表示の相談窓口に持ち込んで見てもらう
印刷にかける前に
焼き菓子ごとに刷り分ける版を作り、材料表と読み合わせる
店頭に出す前に
対面用の確認シートと、ホームページ・LPに載せる案内の文言をそろえる
書く場所が増えるので、正本を決めておく
焼き菓子の中身について書く場所は、ラベルだけではありません。店頭のPOP、メニュー表、それにホームページ・LPの案内にも、同じ内容が載ります。書く場所が増えるほど、どこかだけ古いままになりやすくなります。
そこで、焼き菓子ごとの材料表を正本と決めて、他はすべてそこから写す形にします。レシピを変えたときは、まず材料表を書き換え、そのうえでラベル、POP、ホームページ・LPの順にたどって同じ内容に合わせます。焼き菓子を入れ替えるときも同じ流れです。写す元をひとつに決めておくと、どこを見れば正しいのかが店の中で共有できます。
ラベルづくりは、開店準備の中では後回しにされやすい作業です。ただ、売り方の書き出しと材料表さえ先に用意しておけば、あとは案を作って窓口で見てもらい、印刷にかけるという流れに乗せられます。焼き菓子を店頭に出すと決めた日に、まず売り方を紙に書き出すところから始めてください。