カフェで補助犬の同伴客を迎える店内ルールと案内手順の整え方
盲導犬・介助犬・聴導犬を連れたお客様をカフェでどう迎えるか。厚生労働省の公開情報を確かめる手順、スタッフ向けの案内マニュアル、犬が苦手なお客様がいるときの席の調整、店頭やホームページ・LPでの告知の書き方をまとめます。
「うちはペット不可の店だけれど、盲導犬を連れたお客様が来たらどうすればいいのか」。カフェを開く準備の中で、こうした疑問は後回しにされがちです。ところが、当日その場で判断するのは新人スタッフかもしれません。この記事では、補助犬を連れたお客様を迎えるための店内ルールと、案内の手順を開業前に整える方法をまとめます。
補助犬とは何かを、まず公式情報で確かめる
厚生労働省のページでは、身体障害者補助犬は盲導犬、介助犬、聴導犬のことだと説明されています。身体障害者補助犬法に基づいて訓練・認定された犬で、法に基づく表示をつけています。
それぞれの役割も紹介されています。
- 盲導犬: 視覚障害のある人が街なかを安全に歩けるよう手助けします。
- 介助犬: 肢体不自由のある人の日常生活の動作を手助けします。
- 聴導犬: 聴覚障害のある人に、生活の中で必要な音を知らせ、音源まで誘導します。
同じページには、飲食店などの受入事業者に向けた啓発チラシ「補助犬ってお店に入れなきゃいけないの?」が載っています。紹介動画では身体障害者補助犬法や障害者差別解消法、ほじょ犬マーク、受け入れ方も取り上げられています。店のルールを書く前に、オーナー自身がこのチラシと動画に目を通します。法律の中身を自分の言葉で要約するのではなく、公式の資料を手元に置き、スタッフにも同じ資料を見せる形にします。
盲導犬については、日本盲導犬協会のサイトでも育成の取り組みや、目の見えない・見えにくい方からのよくある質問がまとめられています。スタッフ研修の前に、あわせて読んでおきます。
店内ルールは「ペット」と「補助犬」を分けて書く
ペット不可の店では、店内ルールに「動物の同伴はご遠慮ください」と一行だけ書いてしまうことがあります。この書き方のままだと、補助犬を連れたお客様にもスタッフが同じ説明をしてしまうおそれがあります。
ルールを書くときは、次のように項目を分けます。
- ペットの同伴について(店の方針を書く)
- 補助犬の同伴について(公式資料を確かめたうえで、迎え入れる方針と案内の手順を書く)
- 補助犬かどうかの見分け方(法に基づく表示をつけていることを書き添える)
判断に迷ったときに誰へ確認するかも、ルールの中に一行入れておきます。オーナーや店長が不在の時間帯も想定して、連絡の順番を決めます。
入店から着席までの案内マニュアル
アルバイトスタッフも含め、全員が同じ動きをとれるように、入店から着席までの流れを文章にしておきます。次のチェックリストをもとに、店のレイアウトに合わせて書き換えてください。
入口で表示を確認する
犬を見ても「ペットは…」と先に言わない
犬には触らず、声もかけない
話しかける相手は同伴のお客様
希望の席を聞く
犬が足元に伏せられる席を候補にしておく
通路の広さを伝える
席までの動線を言葉で案内する
注文はいつもどおり受ける
犬用の水などは求められたときに相談する
困ったら決めておいた担当者に確認する
その場で断る判断をしない
新人研修では、このチェックリストを声に出して読み合わせます。ロールプレイで「補助犬を連れたお客様が入口に来た」場面を一度試し、迷った点をその場でマニュアルに書き足します。
犬が苦手なお客様が居合わせたときの席の調整
店内に犬アレルギーのお客様や、犬が苦手なお客様がいることもあります。そのときは、補助犬を連れたお客様に退店をお願いするのではなく、席の位置で調整します。
- 双方の席の間隔を空ける
- 入口や通路をはさんで別のエリアへ案内する
- 先に座っているお客様には「席を移っていただくこともできます」と選択肢として伝える
声かけの例も用意しておきます。
「本日、補助犬を連れたお客様がいらしています。犬が苦手でしたら、離れたお席もご用意できますので、お気軽にお申しつけください。」
どちらかのお客様を悪者にする言い方は避け、席の選択肢を示す形にそろえます。
店頭とホームページ・LPでの告知
受け入れの方針は、店に来る前のお客様にも見える場所に書いておきます。
- 店頭: ほじょ犬マークのステッカーを入口に貼る
- メニュー表: 店内ルールの欄に「補助犬の同伴を歓迎しています」と書く
- ホームページ・LP: 店舗情報やよくある質問に、補助犬の受け入れ方針と、犬が苦手な方への席の案内方法を載せる
告知の文は、スタッフ用マニュアルと同じ言葉で書きます。店頭とホームページ・LPで表現が食い違わないよう、文面は一か所にまとめて管理します。
開業までの準備の流れ
開業準備の初期
厚生労働省のチラシと動画を確認し、店の方針を決める
内装を固める段階
犬が足元に伏せられる席と、離れた席の候補を決める
スタッフ採用後
案内マニュアルを配り、ロールプレイで読み合わせる
オープン直前
ほじょ犬マークを入口に貼り、メニュー表とホームページ・LPに方針を載せる
オープン後
実際の案内で迷った点をマニュアルに書き足す
補助犬の受け入れは、特別な日にだけ起きる出来事として扱わず、日々の接客手順の一つとして書いておきます。公式資料を手元に置き、ルール・案内・告知の三つを同じ言葉でそろえるところから始めてください。